釧路ロータリークラブ 国際ロータリー第2500地区 Rotary Club of Kushiro
通 算
3479
2017-2018年度
19回 例会報告
2017年11月16日
例 会 内 容
世界経済の現状と今後の見通し
お客さまのご紹介
野村證券(株)釧路支店 支店長 兼 十勝・帯広営業所長 若林 新 様
会長の時間
会長挨拶 邵 龍珍 会長
先週、会員皆様からのご寄付と、ゴルフ同好会「なゆたの会」と合同で行いました記念コンペでの寄附金を合わせた計10万円を、会員を代表して青田会員より頂戴致しました。今一度深く感謝と御礼を申し上げます。また、今後もご協力をお願い申し上げます。先週の金曜日、第7分区の第4回会長・幹事会が白糠の「やまかん」で開催されました。すごく重くて大きい毛ガニや白糠地場の海の幸・山の幸を美味しくいただき、そこで、漆崎ガバナー補佐をはじめ釧路ベイRCの皆さまからIMに関してのお願いがありました。今年度は2月17日(土曜日)に開催されます。今年度のRI会長イアン・ライズリー会長の1人1本の植樹、120万本を世界で植えようという大きな目標があり、当分区では分区事業として、5月27日(日曜日)に白糠に315本の植樹を計画しております。毎年恒例の飲酒運転撲滅キャンペーンのパークゴルフ大会を10時から、植樹は9時から行われます。当日は植樹、パークゴルフ、懇親会という流れになります。どうか皆さん、今からスケジュール調整をしていただいて、たくさんの方の参加をお願い致します。
本日のプログラム
世界経済の現状と今後の見通し
プログラム委員会 委員長 松井 聖治 君
本日午前中の健康診断で一時間ほど前にバリウムを飲み、少し調子の悪いことお許しください。早速、講師を紹介させていただきます。本日は、野村證券(株)釧路支店支店長の若林新様をお迎えして「世界経済の現状と今後の見通し」というテーマでご講演をいただきます。若林支店長の簡単なご経歴ですが、昭和50年群馬県高崎市でお生まれになり、平成9年早稲田大学商学部を卒業され、同年4月に野村證券にご入社。その後、平成13年本社経営企画部経営企画課、平成21年には福岡支店のファイナンシャルコンサルティング課課長、平成25年には京都支店の法人課の課長を歴任、平成28年4月より現職となっております。皆さまご存じかもしれませんが、釧路北RCの会員でもあります。それではご講演お願いたします。
野村證券(株)釧路支店長 兼 十勝・帯広営業所長 若林 新 様
野村證券の若林です。釧路北RCにお世話になっており、この度工藤プログラム副委員長よりお話をいただき、専門家の方や百戦錬磨の経営者の方々を前に大変恐れ多いですが、「世界経済の現状と今後の見通し」ということでお話しさせていただきます。お聞き苦しい点もあろうかと思いますが、ロータリアンのご友情に免じてお許し下さい。さて、足元の日経平均株価は26年ぶりに2万3,000円という高値をつけており、どこまで株価が上がるのか。あるいは、すでに割高ではと様々ご意見がある中で、本日はそのあたりも含めたご報告と世界経済ということで、アメリカ・ヨーロッパ・中国そして日本というところをお話し致します。まず、アメリカのニューヨーク・ダウの株価の推移を見たものです。これを見てみますと特徴的なのは、2008年のリーマンショック以降、アメリカの中央銀行が金融緩和をずっと行ってくるとともに株価が上がってきたというのが今までの図式でした。 今年に入り、アメリカの金融緩和の出口戦略ということで、ここから緩和傾向がだんだん薄まっていくわけですが、その一方で株価は最高値を更新している現状です。今までは金融相場から企業の業績相場を見てくるマーケットになってくるのではないかとみております。こちらはアメリカの企業業績を見たもので、2014年からここ数年の3年間は、ほぼ横ばいです。ところが2017年以降は企業の業績はホップ・ステップ・ジャンプという動きで業績の伸びが想定されています。ここ数年間、経営環境としては資源価格が原油を含めて下がってきて、ドル高が進んで、決して企業にとっては良い環境ではなかったのです。ところが、17年以降、原油・資源価格も安定してきて、金利環境も安定しているということで、企業が利益を上げやすい環境になっています。アメリカの雇用を見たもので、実に失業率は4%前半の水準まで低下しており、人手不足というのは日本だけじゃなく、アメリカでも同じように起こってます。2011年以降、雇用者数は月間で20万人増というのがコンスタントに続き、アメリカでは大体7万5,000人から12万5,000人くらい毎月増えていくのが理想とか適正だと言われていますが、非常に堅調な雇用統計の水準と確認されています。製造業の景況感指数というのを見たものです。私たちが想定している以上に世界の景況感というのは非常に強いというのが確認されており、アメリカとヨーロッパと日本と中国の4地域で世界のGDPの6割を占めていると言われています。景況感、いろんな指数がありますが、50以上の状況は景況感が良いとされています。2016年9月以降、この4地域すべての景況感が50以上になっており、まだ当面続くのではなかろうかと。世界の景況感は良いというのがこちらで確認されています。こちらは製造業の在庫の循環というのを見ております。山があったり谷があったりしますが、一般的に40か月で在庫循環の1サイクルと言われています。中国・アメリカ・日本もこの在庫前年度同月比の在庫水準がマイナスになるまで低下してきています。つまり、昨年くらい在庫処分をずっとやってきた結果、在庫がほぼ無くなってきているくらいまで低下してきています。 中国が今年の4月に在庫の循環が底落ちしてプラスに転じています。これから在庫を増やしていくということで、世界的に生産量が増えていくので、これも景気の下支えになっているとみています。ちなみに在庫循環がプラスに転じてから、過去の平均だと21か月くらいでピーク落ちにいくということですので、逆算しますとまだ日本とアメリカはプラスに転じていない状況ですので、今月ないし来月くらいにプラスに転じてくるところが見えれば、ここから21か月先くらいまで在庫循環を見ますと、まだまだ景気はピークを迎えるまで強そうだという見方をしています。アメリカの消費環境を見たもので、赤のグラフが小売りの売上高の推移です。これを見ますと、前年同月比でプラスに推移しています。注目いただきたいのが、このインターネット通販を始めとした電子商取引のボリュームです。これで見ますと10%増。前年で1割ずつくらい毎月増えています。このあたりの消費環境も非常に良好なところが確認されています。アメリカの設備投資を見る上で先行指標とされていますのが、資本財の受注額と建設機械の受注額です。今、アメリカは老朽化が進んだインフラを、もう一度老朽化に備えてインフラ投資が加速するとみられています。これで見ますと、まだ建設機械受注も資本財受注も過去のピークを決して打っているわけではありません。ですので、右肩上がりに増えてきて、こちらも好調、復調が続きそうだということです。一方で、アメリカの賃金は上がっているのかどうかというのを見たものです。今まで景況感が非常に良くて、企業の業績が上がり、果たして人の雇用の賃金は上がっているのかどうか確認したものです。前年同月比で3%近く、景気が良くて企業の利益が上がっていますが賃金はさほど上がっていないと確認されています。賃金が上がっていないということは、消費支出デフレーターという推移を見ています。物の物価がさほどインフレになってきていないというところです。賃金が上がってインフレになってしまうと、景気としては引き締めをしないといけないようになりますが、足元はまだそういう環境ではなさそうだということでございます。アメリカの金利水準を見たものです。
今年に入り、アメリカは政策金利を0.5%から1.25%まで今年で3回の利上げを行って、金融緩和の縮小に動いています。一方でアメリカの長期金利で10年の金利を見ますと、2.4%からほぼ横ばいに動いています。政策金利は高くなってきて引き締めの動きになっているものの、長期金利は依然として低いままで推移しているので、金利がワッと上がってしまいますと、景気を引き締める動きになりますが、このあたりを見ても経済にとって非常に良い状況が続いていると確認できます。こちらはドルと円の為替の推移を見たものです。昨年までは1ドル125円、それから100円ということで、だいぶ荒っぽい動きをしておりました。ところが今年に入りまして、113〜114円くらいで非常に安定して動いているということで、背景は先ほどご紹介したアメリカの金利水準、比較的長期金利が落ち着いているところもあるかと思います。急激なドル高になりますと、アメリカ国内に入ってくる輸入物価が低下してしまうことによって、デフレ経済に近づいてしまう懸念がありますが、急激なドル高になることが抑えられていますので、金融も正常化していくという点においては非常に良い状況が続いています。ここまでアメリカについてスポットを当てておりました。ヨーロッパの方を少し注目してみたいと思います。ユーロも今年に入り、120円が130円台ということで、円安ユーロ高に推移しています。ここで示しているのは、ユーロ圏21か国の貿易の取引量で加重平均したユーロの実力を見ています。これを見ますと、ユーロも名目実効為替レートに関して言いますと、ユーロが強くなっている。これもヨーロッパも低インフレが続いていまして、経済にとっては緩和されている状況なので良い状況が続いていると捉えています。ヨーロッパの企業業績推移を見たものです。これを見ますと、2010年以降、ヨーロッパの企業業績がほぼ横ばいでしたが、17年・18年・19年は2桁増益が予想されています。アメリカだけではなくヨーロッパも景況感が良くて、ヨーロッパの企業業績も増益基調で動いているのが確認されます。中国の現状を確認してみたいと思います。中国の上海総合指数株価推移です。それから人民元の為替レートの推移です。これを見ていただきますと、やはり昨年まで人民元の切り下げや中国株の急落などがあり、かなり荒っぽい動きをしてまいりました。ところが昨年の後半から今年に入りまして、上海の総合株価指数も安定して動いていますし、人民元も一旦はだいぶ切り下げがあって安くなりましたが、落ち着いた動きを取り戻してきているというのが確認されます。こちらのスライドは中国の不動産住宅価格の推移を取ったものです。ご覧いただきますと、赤が北京・上海・広州・深センという首都部の住宅価格の推移です。2015から2016年にかけて、かなり不動産価格が上昇しているのが確認されます。ところが、この今年に入ってから不動産バブルの抑制策が少しばかり効いてきているようで、ほぼ横ばい、頭打ちになっているのが確認されます。中国を語る上でいつも話題になってくる商業銀行の不良債権の額です。こちらも不良債権の額自体は右肩上がりで増えてきていますが、注目いただきたいのは昨年から今年にかけて不良債権比率が頭打ちになってきています。一時、中国は不動産がバブルで不良債権が増えて、いつか経済はガタガタくるだろうというリスク要因が上がっていましたが、足元は比較的落ちているのが確認いただけると思います。こちらは中国のGDP推移です。ここ最近ですか、中国の経済が少し減速しているというニュースが出てきています。1月から6月のGDP成長率がいまプラスの6.9%ということで、中国政府の目標というのがプラスの6.5%というところですので、まずまず政府目標をクリアしていますし、そんなに悪くはなさそうだと見ています。ご注目いただきたいのは、この昨年まで中国の純輸出がマイナスでGDPの足を引っ張っていたのが、今年に入りプラスに転じてきているので、中国も決して景況感が悪くないと見ております。中国の資源価格のボリュームを見たものです。赤が鉄鉱石の輸入量で、グレーのグラフが原油の輸入量です。これを見ると、やはり中国が輸入している資源の量というのは右肩上がりで徐々に増えていて、住宅投資やインフラなど、まだまだ需要があって資源の輸入量は安定しており、底堅く推移しているのが確認されます。ここから日本経済、日本の現状についてご報告させていただきます。これは日経平均株価の推移で、10月までは約21年振りの高値でしたが、今月は日経平均が2万3,000円をつけまして26年振りの高値を記録しました。その背景として、あえて少し時間をかけてお伝えしたいのですが、日本企業の業績が過去最高益を更新してきているという図であります。2007年の企業業績を100として、2007年は日本企業業績が上がってきたリーマンショック前のピークです。これを100とした時に3万8,900円をつけたバブル期の日経平均株価の一番高かった時が経常利益額で見ますと54です。リーマンショック前を100とするとバブル期3万8,000円をつけた時の企業利益は54で、今年が128位になりそうだと予想されています。来年、再来年と過去最高益を更新しそうだという内容になっています。東証一部の株価を時価総額で見たものです。発行済みの株式総数?株価を掛け合わせて、株式市場の実力を見ております。3万8,900円をつけた89年のバブル当時、時価総額は590兆円でしたが、9月時点では613兆円まできて、昨日現在652兆円まで膨れあがっており、株価として2万2,000〜3,000円位ですが、東証の株式市場全体のボリュームを見ますと既にバブルの時のボリュームを超えてきています。日本の雇用統計、日本の人手不足というのを改めて見たものです。有効求人倍率は8月時点で1.52ですので、これが1974年以来の高度経済成長時代に匹敵するくらいの人手不足が起こっていますので、企業の行動、業績の過去最高益を達成する背景として、雇用関係は歴史的に逼迫しているのを確認したものです。日本の建設機械の受注額と産業用ロボットの受注額を見ております。過去10年くらいを見ても建設機械の受注、産業用ロボットの受注は過去最高を更新しています。これは民間主導による設備投資や人手不足に対応する省エネ・省力化投資です。こうした動きが如実に表れてきておりますし、この動きは今後も続いていくのではと見ております。企業が挙げた利益をどれだけ株主に還元しているのかというのを見たものです。これを見ると、株主還元の仕方は配当を増配する、自社株買いを増やすなどありますが、こちらの額も過去最高を更新しています。株主還元が左のアメリカ企業を見ますと、ここ2年は稼いだ利益の100%以上を株主還元に回しています。ところが日本企業は稼いだ利益の53%を内部留保して、3割近くを配当、1割近くで自社株を買い増すという株主還元をしています。現在、外国人投資家がなぜ日本株を好んで買っているかと言いますと、海外と比べて日本企業の内部留保に注目をしてます。日本の企業が持っている現金や現金同等物を設備投資や研究開発に回すのか、もしくは回さないのであれば配当を増やすとか、自社株買いを増やすというポテンシャル、余力がまだまだあるところに注目しています。それをROEという自己資本を使ってどれだけ利益を上げているか、企業の生産性、効率化を見たものです。日本のROEは9.3%ということで、海外に比べるとまだまだ低いです。アジアの企業に比べても日本企業はまだ低いということですので、このあたりはROEが改善されるとまだ株価が値上がりする余地があると見ています。日経平均株価を野村證券で見ている中長期の見通しで、ROEが9.3から9.4の横ばいでいた時に、企業業績ベースで考えますと、2020年日経平均の2万5,000円と想定しておりますし、先ほど申し上げた企業の内部留保がもっと活性化される、あるいはROEがもっと高まれば、さらに上の株価水準が期待されそうです。以上、駆け足になりましたが、世界の経済動向と日本の現状と、そして将来の株価想定ということを含めご報告させていただきました。ご静聴いただきありがとうございました。


閉会・点鐘
その他の報告
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お名前(敬称略)内     容
邵 龍珍今後気を引き締めて頑張らせていただきます。
今年度累計 177,000円