釧路ロータリークラブ 国際ロータリー第2500地区 Rotary Club of Kushiro
通 算
3474
2017-2018年度
14回 例会報告
2017年10月12日
例 会 内 容
「数学は役に立つか〜乗数効果やクロス集計やラプラスの悪魔」
お客様のご紹介
釧路市教育委員会 学校教育部 部長 高木 亨 様
会長の時間
会長挨拶 邵 龍珍 会長
雨が一降りする度に、日に日に寒くなっていくこの時期でございますが、体調にはご留意くださいますようお願いいたします。10月6日〜7日の2日間にわたりまして『国際ロータリー第2500地区 地区大会』が網走の地で盛大に開催、終了をいたしました。当クラブから清水、小船井両パストガバナー、そして吉田潤司ガバナーノミニーをはじめ36名の会員皆さま方のご参加にこの場をお借りして感謝と御礼を申し上げます。地区大会に関しては来週報告例会となっております。そのときにゆっくりとお話しをさせていただきたいと思います。さて、私の会長方針の中でグローバル補助金、地区補助金を使った世界奉仕貢献、また、地域への貢献という目標を掲げさせていただきました。地区補助金に関しては、補助金をいただいて前年度の80周年記念の予算とプラスして100万円分の数学検定を釧路市に贈呈したということは前回例会でご報告させていただきましたが、グローバル補助金に関して着々といま進んでいることをご報告させていただきたいと思います。当初は、伊貝さんと私の思いがございまして、カンボジアの幸せ学校の増設という形で進もうとしましたが、なかなか進まずに頓挫して白紙に戻ったところでございます。そういった中で、地区からの依頼があり、また、地区財団委員会の応援と協力の下、当地区の友好地区第3330地区、タイの女性クラブにホストになっていただき、第3330地区タイのミャンマーの国境のカンチャナブリという所で労働者またはその住民達に結核が流行っているようです。その防止事業についてグローバル補助金を活用して行いたいと考えています。6大分野の中の2番目、疾病予防と治療の項目に当てはまりますので、グローバル補助金は使えるということです。グローバル補助金には3名のプライマリー・コンタクトという責任者が必要です。そのファースト・セカンド・サードがあり、ファーストが窓口になりますが、後藤幹事が窓口、セカンドが国際奉仕委員会の山本晋委員長、サードがいつも大変申し訳ないですけれども国際奉仕委員会 荒井 剛 副委員長に担当していただき、担当委員会が国際奉仕委員会となります。これから当クラブの総意でこの活動を行うということで、少しずつ皆さんと勉強をしていきながら、このグローバル補助金事業を成功裡に終えるように進めていきたいと思っております。皆さまのご協力のほどをよろしくお願いを申し上げながら会長挨拶に代えさせていただきます。
本日のプログラム
「数学は役に立つか〜乗数効果やクロス集計やラプラスの悪魔」
社会奉仕委員会 委員長 柿田 英樹 会員
たまに参加をすると朝から雨かと思い、少し愕然としましたが晴れて、私は雨男ではないと安心しております。本日は、社会奉仕委員会の例会発表ということで、講師をお招きしてお話しを伺います。昨年行われました80周年事業として数学検定がございます。今年度と来年度、併せて3か年で行われる予定の事業ですが、本年は社会奉仕委員会が担当をさせていただくことになりました。本日はその事業の開催に当たりまして、多大なるご理解とご協力をいただきました釧路市教育委員会学校教育部 高木部長様にお越しいただきまして、『数学は役に立つか〜乗数効果やクロス集計やラプラスの悪魔』という題で、少し謎めいておりますが、これからお話しいただこうと思います。よろしくお願いいたします。
釧路市教育委員会 学校教育部 部長 高木 亨 様
このような機会を作っていただいたことに心から感謝申し上げます。改めまして、昨年の「数学検定」「算数検定」実施に当たって、皆さまのご浄財でのご協力、また今年度につきましても引き続きのご協力をいただきましたことに、心から教育委員会を代表いたしましてお礼を申し上げます。検定は2月まで行われますけれども、その最中にこのような場を与えていただいたということであれば、これは「算数・数学検定」にまつわる数学についての話をひとつのテーマにしなければ形が収まらないだろうと思いまして、何を話すかということを考える前にタイトルを出さなければならなかったので、謎めいたことを3つ並べておこうと思いました。三大話みたいなものですが。これが、『釧路市における数学・算数教育の問題と課題、今度の展望』と言ったらつまらなくて、大体は見に来る気はないだろうと思いますが、このようなテーマにすると少し「これは何だろう」と謎めいた関心を持っていただけるかと思いまして、あえてこのようなタイトルにいたしました。最初に先ほどの三題をこれから駆け足でご説明をさせていただきます。乗数効果、聞いたことはないですね。高校までの数学では出て来ませんが、れっきとした数学・経済学の概念です。このような視覚教材といいますか、これは、釧路の小中学校の学校図書館、いわゆる図書室に学校で使った中古パソコンを改良してこのようなソフトを見られるように仕組みを作っています。その中のソフトも自前で作っているのですが、今年度から一部に自動読み聞かせ、紙芝居の機能も盛り込みまして、その中の一部に釧路の地域経済の政策の1つの核になっています「マンガで知ろう、釧路市中小企業基本条例」。これの読み聞かせバージョンを作りました。その一部をまずご説明いたします。

(教材ソフト(「マンガで知ろう、釧路市中小企業基本条例」鑑賞)

宇宙人グレイ 「地球経済の破壊はフッフッフ恐ろしいだろう」

子供  「でもさー、どうやって地域経済を破壊するの」

グレイ 「フッフッフッフ、それはな、人々の心を操り、地域の外から全てのものを買い、どんどんお金を地域外へ流出させるのだ」

子供  「どういうこと」

グレイ 「では、詳しく説明してやろう。地域で、会社は、商品・サービスを作り、それを売ってお金を稼ぐ。稼いだお金は会社の社員に給料として支払われる。その給料で地元の会社が作った商品を買うと、お金は長い間地域に残って多くの人を雇う資金になる。ところが、全然地元で買わないと、お金は地域で回らなくなり、やがて地元の企業も痩せ細り、最後には、地域そのものにお金がなくなってしまう。同じことが地球規模で起こると、富がどんどん海外に流れて行って国は痩せ細る。どうだ、恐ろしいだろう。」

子供  「うん、じゃ、どうやって防げば良いの」

グレイ 「うん、それはお金を地域内で回すこと。つまり地域の中で作った物や提供しているサービスを買う。例えば、地域で採れる野菜や肉や魚を地域で食べる。あるいは地域の店で買う。企業なら仕入れは地域の企業から。もしも地域の商品や企業に足りないものがあるのなら地域のみんなが協力して、魅力、つまり競争力を高めていく。」

子供  「分かった。地元の商品や会社と仲良くなると、みんなが幸せになるのだね。」

グレイ 「そのとおり」

子供  「ありがとう。この話をみんなに教えるよ。えっ、そうしたら経済は守られるの」

だね。」 グレイ 「私の名はグレイ地球経済を破壊するためにやって来た。次こそ破壊してやるぞ。」

(ここまで DVD鑑賞)

これの元原稿は10年くらい前に私が商業労政課長時代に作ったものです。長らくホームページ上に音がしない紙芝居として載せていたものですが、今回、子供たちが普段から見る学校の図書館の中で見られる仕組みを作ったので、せっかくなのでこれも小学生の時からこのようなことも子供たちに知ってもらいたいと思って声を入れてこのような形のソフトにしたものであります。いまのご説明を宇宙人グレイが一生懸命説明した内容を数式で表すとこうです。この瞬間にもう眠くなるかもしれませんが、これは見覚えがないかと思います。高校3年生の「無限等比級数」の展開式です。これは「乗数効果」と呼ばれているものです。いま紙芝居で説明したものを数式にするとこうなるということです。1循環、まあ1年間する度に、例えば地域に70%のお金が残る、留まるとすると、10年間で1年目に投入した財が3.27倍になります。じゃ、55%ずつではどうかというと2.2倍です。70%とは15・16年前くらいの札幌圏の実際の自給率。書いてある「地域域内地域駅内循環率」と私は言っていますがその率です。55%は残念ながら十勝で、釧路は52.数%でした。これは55%と仮に置いておきます。もしも、釧路が札幌並にこの循環率が高くなると単純な割り算ですが、約1.5倍に資金量が10年のスパンでは増える。これはどれくらいの量なのかというと、水産業が50倍、水産業が50年分といった方がよいでしょうか。そのくらいの影響が出てきます。本当かと思われると思います。私も何度か計算をしましたが、どうもそのような感じだと思いました。これは、市役所が出しています統計の一番上、黄色でマークしています産業、市内GDPの金額です。5,000億円です。その下の水産業は50億円です。5,000億円が1.5倍ということは、この半分2,500億円が新たに増えるという事態になりますので、そうすると水産業の50倍となります。おかしいよ、水産業そんな50億程度で済んでいると思われる方もいると思います。種明かしですが、水産加工業は水産業に入っていません。その下の製造業に入っています。こっちを見ると確かにかなり長くなっています。ちなみに1年間の水産加工業は、約400億円です。まだ産出額で見ていますので、中間投入を差っ引くので少しそれよりは低いと思います。このように、先ほど申し上げました産業的にはすごく伸びる可能性があるのだと押さえていただければと思います。ただ10年かかるので、そこまでいくまでに準備その他が大変ですので、かなり時間がかかり、いきなり域内循環率が高まったからといって明日急にお客さんが10倍になるということではありません。ただ地域の100年の将来を考えたときには、このような見通しを持つということが大事だということですが、それ以上に、本日のテーマ・数学との関係です。つまり数学とは進むべき方向性を見極めるためのキッカケを与えてくれるひとつの効果があると思います。もうひとつ「クロス集計」。このような事例を考えて見ました。支店Aと支店Bがあります。バターと鉄砲を売っています。バターと鉄砲と言えばサミュエルソン経済学という感じですが、すべての支店の売り上げが32万円、そんなに低いところはないと思いますけれども。この額を見て社員Cは「売り上げがあるからまあ良いか」と思いました。商業労政課長時代に市内のみずほさん以外のすべての金融機関の支店長さんと年に1回会って懇談をする機会がありました。そのときにある支店長さんとある支店長さんが口を揃えて言ったことが「お客さんの中には事業計画を考えないでお金を借りに来る人がいる。昨年やって黒字になったからまあ良いかという感覚の人が少し多いかもしれないね」というお話しをされました。だから何だというわけではありませんが、社員Dは「Aの売り上げがBよりも多いので、支店Bを閉鎖しよう」、ひとつの方策ではありますが。社員Eは中身を見ました「鉄砲の売り上げの方が多いので、じゃ鉄砲だけを売ろう」大体がこういう考え方、役所ではこの考え方のパターンが多いです。見た目だけで判断をしてしまう。しかし、社員F「支店A・Bごとに、売上品ごとにクロス集計をしてみよう。単純な合計額をちょっとよく見たら、あれ。(売上率なんていう率があるかどうかは知らないまま適当に作りましたが)要は、支店Aの方は、確かに売上額は多いけれども、鉄砲に頼っている。しかも売り上率はそんなに高くはない。支店Bの方は5丁仕入れた鉄砲を全部売っている。
ひょっとしたら何か理由があるのだろうか」。例えば、支店Bが無茶苦茶に手狭で本当はもっと売れるのだけれども店内に飾っておけなかったとか。逆に支店Bの社員の方がものすごい営業力を持っているかもしれません。そうすると、対策としては、例えば支店Bの社員を支店Aへ入れ替えるなどいろいろな手が考えられるわけですが。商売上のことをまさか私が偉そうに説明をすることではありません。ここで何を言いたかったかというと、思い込みに対して警告を発してくれることが数学のひとつの力であります。大変残念ですが、学校教育部長になってから4年目ですが、過去4年間、ずっと口を酸っぱくして「様々な数値が学校に溢れている。テストの点数など頼むからクロス集計をして原因を探ってくれ」と言いましたが、ついに誰も聞いてくれませんでした。やっといま、北海道教育委員会がきちんと学力テストの結果をクロス集計して、どのような学習行動をとっている子の学力が高いのかとか、民間さんなら当たり前の話ですぐやる話ですが、それをやっといま教育の方では動こうとしているということ。私は、ついこの間までひょっとして釧路の先生方はクロス集計なるものがこの世にあることを知らないのではないかと心配していましたけれども、クロス集計は知っているそうなので、それは安心して良いと思います。数学でいろいろなことができると、ついついこのような誤解を生じることがあります。つまり何でも計算できて、何でも正確に未来を予想できるのではないか。数学で計算をすればそれですべてOKだ。そのようなことはないです。「ニュートン力学」が全盛のころでしょうか。1812年、ラプラスという数学者がこのようなことを言いました。「もしも、ある瞬間におけるすべての物質の力学的状態を知ることができ、且つもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、未来の予想を正確に言い当てるだろう」というようなことを言ったのですが、確かに分子運動の結果が出来事のすべてだというとそのようなことを考えたくなるのですが、これはその後「不確定性原理」というものが出て来て、ある瞬間の物質の位置・ベクトルって分からないことが分かってしまいました。ある一定の確率の範囲でしか分からないという、これはアインシュタインの「一般及び特殊の相対性理論」に並ぶ20世紀の物理学の2大発明と言われています。「不確定性原理」要は「究極を突き詰めたら本当のことなんてそんなに分からないよ」ということであります。ただ、数学は無力なわけではなく、完全に予想することはできない。ある程度の範囲では予想できる。ここまでのものをまとめますと、数学とは「進むべき方向を見極めるキッカケを与えてくれるもの」また「自分の思い込みに警告を発してくれる」「やったらどうなるかをある程度の範囲で予想できる」ただ気を付けなければいけないことは、外れることもあるということであります。ただ、問題はここからです。外れた場合、その原因を突き止め易いのです。一定の考えのもとに分析をした場合、それが外れたら「どこが悪かったのだろう」と改善ができる。そして正しい道にいち早く気付ける。ここで、数学検定との関係でいきますと、このような大事な数学、十分に実社会にも役に立つだろう数学の基礎とは、小・中・高校で作られて行きます。そしてこの数学検定・算数検定というものの一番大きな特徴は、競争ではないということです。試験に合格するかしないかは明らかに競争ですが、そうではなくて、数学検定は頑張っていればいつか例えば5級になれる、4級になれる、1級になれる。競争ではなくむしろ山登りに近いのだろう、いつか将来は頂上まで行ける、いまはここまででも良いとその可能性を支えてくれるものであります。そして、その過程で数学的な思考力が身についていく。これは、このあとのお話しに少しだけ関わってきます。数学が伸びると自信になっていきます。社会など暗記をすれば何とかなる科目が伸びても、ないわけではないですけれどもそんなにたくさんの自信には繋がらない。なぜか数学が伸びると「俺、頭が良くなったかもしれない」という自信に繋がり易いと思います。例外もあるとは思いますが。これからお子さんが受験をされる方は少ないかもしれませんが、お孫さんが受験をされる方もいるかもしれません。私は、2人の子供をとりあえず高校・大学と入れました。教育委員会に来る前から、あまり塾や学校の先生に対しての受験に対する指導については期待をしていませんでした。できるはずがないとすら思っていましたので自分で研究をしました。自分が大学受験のときには、人様よりも大分長い期間受験をさせていただきましたので、そのときの40年近く前です、その受験技術は嫌というほど身に付けまして、子供たちのために現代に溢れかえっている様々な受験ノウハウをつぶさに研究をいたしました。それでいくつかコツを身に付けました。3番などは名言だと自分では思っています。最後5番、「数学は空手だと思え」。何だ、これはと思われるかと思いますので、このエピソードをお話しして締めとさせていただきたいと思います。「数学は空手だと思え」我が人生で一番無茶な振り方をしたセリフでありますが、実は私は極真会館という流派の空手の釧路の支部長・指導員を何年間かしていたことがあります。そのときに会員・門下生の1人、某高校と言えば大体分かりそうな感じがしますが、その1年生が来まして「先生、大学を出ているのだから数学得意だろう」と言われ、コイツの決めつけ方は思いましたが「教えてくれ」と言われ「どうした」と言ったら「実は定期テストで100点満点中36点取っちゃった」「そうなのか、それはまた豪快だね」といって問題を見ると、数と式の因数分解の分野でしたが、これで36点は確かにキツイよなと思いました。よくよく見ると基本的な計算はできていたので、コイツはバカではない、だから鍛えれば何とかなるだろうと思って、それから10日間近く当時まだ私は親元にいましたので、私の家へ毎晩来させて特訓をしました。特訓内容は、基礎となる例題を繰り返し繰り返し同じものを解かせ、それができたら少し毛の生えたような応用問題をやらせる。これって実は空手の稽古にうり二つでありまして、基本稽古、基本の型を嫌というほどやることが空手の稽古のメインでありまして、それができて初めて応用ができるというもの。だから「お前もこれは空手だと思ってやれ」と言ったら、その男は空手が得意だったので「分かりました、押忍」といいながら私が言ったことを少しも疑わずに一生懸命やって、その結果、その直後テストで右側にあります97点を取って来ました。前回テストを受けてから多分1〜2か月くらいしか経っていないのに学校の先生もびっくりして、まあこれで良かったな、めでたし、めでたし。他の教科は大体推して知るべしだけれどもまあ良かったと思った直後、このようなことがありました。その97点を取って来た男が学校で暴力事件を起こしてしまいました。事の起こりは多分私だと思いますけれど、この間に何があったかというと、全道の空手の大会がありまして、私が出ましてテレビにその模様が映りました。相手を華麗に一撃KOしたシーンと次の試合で一撃KOされたシーンが流れました。学校の空手部の部長の流派は違います。極真会館とそれ以外の流派って40年前はもう敵味方、大変なことがありました。いまはもうそのようなことはないですけれども、それで他流派の空手部の部長が、テレビでの私の試合を見て私をバカにしたので、97点の男は「俺の師匠をバカにした。コイツ」と思わず引っぱたいてノックアウトしちゃった。そのあと相手のほうは「俺も悪かった」と言ったそうで、大事にはなりませんでした。普通はそれで、「まあまあ、そういうこともあるよね」と言って笑えば良いのですが、この97点を取った男は非常に優しい男で「自分が人を殴ったことが信じられない」と。「お前、何を言っている、毎回、道場で散々俺のことを殴っているだろう」と言いましたけれども、そうではなくケンカと空手は違いますので。私の師匠の師匠、大山倍達総裁は「同じだ」と言っていますがそれは置いといて、結局学校にいたたまれなくなり札幌の方に転校をして行きました。退学まで行ってしまったとても残念な出来事でありました。空手もソコソコは強い男であります。それから6年後、つまり、その男が高校進学し大学も卒業したかというころハガキが来ました。「あの頃の日記を読み返しました、僕は子供でした」というお詫びの文章と共に「あれから頑張りました。今回、就職が決まりました。その報告です。就職先は某新聞です」というハガキでした。某高校から某新聞に行った子は多分初めて、ちなみにそのときの文系の大学で某新聞から求人票が来るのは小樽商大と北大だけでしたので、そいつは頑張ったのだなと思います。ただ信じられない、36点しかとれなかった奴がなんでそのようなことが起きたのだろう。それから17年後、釧路で再会しました。そいつに聞くと、「この97点を取ったことがすごく大きな自信になって、自分はバカではないと確信できた。それから本当に真剣に勉強しました。」というお話しを聞かせていただきました。また「いま何をやっているの」と聞いたら「いま某新聞の記者をやっています。西日本の方で、ある行政と政財界の癒着の腐敗のネタを追っていて、危険なので家族を避難させています」昔から続くコイツの正義感と純粋さっていまも変わらないのだなと思って嬉しくなったことがあります。このエピソードは、たぶん国語や社会では成り立たなかったのだろうといま思います。つまり、数学というものには人生を変える力がひょっとしたらあるのではないかと思った次第であります。昨年の皆さまからご協力をいただきました数学検定・算数検定は、12,000人を対象として、約20%の子供たちがそれを受けることができました。ただ、あまりにも膨大な全ての学年を網羅してしまったので、人数が多過ぎたことがあります。受けたくても受けられなかった子がひょっとしたらいたかもしれませんが、今回は基本的には、小学校5・6年生に絞ったのです。結果、対象の人数に対しましては30%の子供が実際に受けることができました。これは望んだ子すべてが受けることができたという数字です。もちろんこれからまだ時間があって、まだ少し枠に余裕もあるので、さらに柔軟に対応をしていこうと思っています。約800人が今年も、昨年と合わせると約2,000人にならんとする子供たちがこの数学の競争ではなく山登りに挑戦をした。その中で、一歩一歩自分の足跡を確認できた。どこまで登れたか、昨年よりも今年は上がったということを確認できた。そのことがこの97点の男のように、その子にとっての未来をひょっとしたら変えるひとつのキッカケになったのではないかと思っています。釧路の子供たちの未来に向かう扉を開けていただいたということも含めまして改めて皆さまにお礼を申し上げまして、私の講演とさせていただきます。
謝辞・記念品贈呈


閉会・点鐘
その他の報告
ニコニコ献金
お名前(敬称略)内     容
邵 龍珍地区大会ご参席の皆様に心から感謝申し上げます。これからも宜しくお願い致します。
後藤 公貴地区大会に多くのメンバーのご参加有り難うございました。
今年度累計 158,000円