釧路ロータリークラブ 国際ロータリー第2500地区 Rotary Club of Kushiro
通 算
3468
2017-2018年度
08回 例会報告
2017年08月31日
例 会 内 容
釧路、地方創生の行方
お客様紹介

邵 龍珍 会長
日本経済新聞社釧路支局・支局長 野間 清尚 様
会長の時間
会長挨拶 邵 龍珍 会長
先週の会長挨拶で修正がございます。ロータリーの40代未満の比率を7%と言いましたが、5%でした。そして女性会員が18%と言いましたが、20%でした。ご容赦願います。 8月26日(土)に釧路ライオンズクラブの創立60周年記念式典に参加して参りました。せっかく参加したので、ロータリーとライオンズの違いは何かを調べて来ました。3つほど簡単なものがありました。1つ目はライオンズクラブの会員を呼ぶとき名前の前に「ライオン」と付けます。私の名前を呼ぶときは、「ライオン邵龍珍君」と言うという。2つ目は、「点鐘」ですが、ライオンズは「開会ゴング」「閉会ゴング」という名の下で2回「カンカン」と鳴らします。3つ目は式典の最後と、懇親会の最後に「ライオンズ・ロアー」というものが次第にありました。名称の如くライオンの雄叫びのような感じですが、ライオンズでは会合等の際、疲れ等を緩和させる為一度中断して全員が起立して「ウォー」と発して気合いを入れ直し再開する習わしから始まったそうです。現在は時代の変化に伴い、会合の締めで行っているようです。式典において入会30年目の方が表彰を受けた際「ロアーします」ということで「ウォー」とやっていましたが、感謝や気持ちを表すといった意味もあるのではないかと感じました。またアクティビティーとして、新図書館に50万円の図書寄贈と動物園の花壇整備に50万円、計100万円を釧路市へ寄贈されたそうで市長表彰を受けておりました。他団体式典に参加できたことを会長として光栄に思います。今年度、私は分区内他クラブとの交流を深めることを目標にしていますが、他クラブが、どのような例会をしているか、運営をしているか、どのような奉仕活動を行っているか、どんな会員がいるか等を感じて頂く為にもメークアップを推奨いたします。以上です。
本日のプログラム
釧路、地方創生の行方
プログラム委員会 委員長 松井 聖治 会員
本日の例会は、日本経済新聞社釧路支局長の野間様を講師にお招きして、『釧路地方創生の行方』というテーマで講話をして頂きます。野間様のご経歴をご紹介させて頂きます。1962年、釧路市のお生まれです。中学3年生の1学期まで釧路で過ごされております。1985年東京大学法学部をご卒業され、同年日本経済新聞社へ入社。その後、サンパウロ支局長やニューヨーク州の編集部次長、広島支局長、大阪本社編集地方局部長などを歴任されまして、2015年に日本経済新聞社釧路支局長になり現在に至ります。それではご講話頂きます。
日本経済新聞社 釧路支局長 野間 清尚 様
『釧路地方創生の行方』ということで、お話しをさせていただきます。私は釧路生まれで、釧路支局勤務が間もなく3年半になります。国内支局は大体3年までということが多いのですが4年目になり釧路生まれの私にとっては非常に喜ばしいことですが、長くいることで釧路の良い面も悪い面も色々見えて、今はどちらかというと悶々とした思いで過ごしています。本日のテーマは『地方創生』ということですが、今から2年位前石破氏が地方創生担当大臣だった頃、第2次安倍政権の目玉施策の1つとして各自治体が盛り上がり「まち・ひと・しごと創生総合計画」を作る為に躍起になっていたと思います。それが2年経って今どうなっているか。どちらかというと新鮮味を失いつつある言葉になっているのではないかと感じております。最初は「空洞化する地方創生」です。このようなことは地域問題を担当している記者等の間でよく言われています。どういうことかと言いますと、ドーナツ化現象とは、街作りでよくある中心市街地から人や商業施設がどんどん郊外へ広がっていくということですが、地方創生において今何が起きているかというと、肝心の都市中心部の地方創世の主体がいない。行政は支援制度を用意しました。金融機関・ファンドはお金を出したい。市民はあれをしてほしい。これをしてほしいという声を出す。有識者もこうすべきだという意見を出していますけれども、肝心の地方創生の主体となる担い手がどこの地域も不足しているの事実をもって「ドーナツ化現象が起きている」と言われています。結果、主体となるべき起業者が多くの地方も比重として飲食業が中心になり、それ以外の業種の主体が出て来ていない。飲食業も盛衰が激しい業種であり、入れ替わりが激しく、飲食店が悪いと言っている訳ではなく、主体となっていることで街全体の活性化の新しいイノベーションにおいて街全体の活性化の躍動感が失われているような結果になっているのではないかと思います。釧路市も「まち・ひと・しごと創生戦略」で重要な柱として雇用の創出を打ち出しています。これはこれで良いのですが、果たして雇用の創出が芋のままでいいのか。既存企業の仕事が増えて、働く人を増やしていくことにも限界があるのではないか。北海道の場合、公共事業の事業費が増えれば建設関係などで雇用が増えるという流れはありますが、果たして若い人を呼び戻す力になるのかどうか。政策の中心が雇用の創出というより、今求められているものは経営者の創出です。新たな起業人を創出しなければならない。そうしなければ働く場所はできないと私は思っています。
 ニューヨークの市立大学の先生が「子どもの65%は将来、今現在存在しない職業に就く」と言っています。将来どのような職種が誕生するか分からないという時代に入っています。特にアメリカはそうだと思います。子供の頃、IT関係や携帯電話、SNS、ユーチューブ、あるいは介護関係などの仕事が将来発達するなんて思っていませんでした。今後は新しい職業を作っていく取り組みが必要ではないかと思います。釧路の場合、経営者の創出。かねてから言われていますが、私が感じる釧路地域の気質として、出る杭は打たれる傾向があると感じます。邪魔をすることはないですが積極的に支えようという気運が感じられません。先日、釧路に「ビジネスサポート協議会」が発足しました。静岡県富士市のf-Bizという相談システムをモデルとして、伴走型で経営者の相談に乗り売上増を目指すことを目的としております。昨年、主宰の小出さんが来釧された際苦言を呈されていましたが、釧路市の対応の遅さを危惧されてました。外部との連携によるこのシステムがようやく動き出すことになり、今後希望の持てる動きに発展することを願います。次に、釧路の存在理由について。私達は色々な街を見て、そこにあることが当たり前だと思いがちですが、各地で人口減少が著しく過疎化が進むようになり、街の存在が当たり前の時代ではなくなったような気がします。そもそも、街にはそこに存在する理由があったと思います。例えば、北海道の場合、廃駅や廃線路の跡地に公園や道の駅が再開発され、昔は賑やかだったことを思わせる哀愁めいたものを感じる箇所が結構あります。釧路市の北大通もその1つだと感じます。炭鉱の町も夕張市は存続しておりますが、尺別や雄別などが産業政策の転換によって存在理由が一気に無くなり現状に至っているということです。地域の存続を考えた時、存在する理由を常に考えながら街づくりをしなければいけない。釧路の存在理由は何かを考えたとき、かつては石炭、水産、製紙業の生産基地として確固たる存在理由があったと思います。現在も合併によって、酪農、林業の比率も高まり乳製品等の需要が増えてはいますが、担い手の減少と需要規模拡大が課題として、今後の懸念材料と考えられます。釧路の存在理由を多方面から真剣に考えなければいけないと思います。色々な方とお話しする中で、釧路の人には切迫感、危機感が感じられず、かつての10分の1の水揚げになったとはいえ全国で上位規模の水産業や、公共事業の受注等、そこそこ何とかやっていけると感じている市民が多いのではないかと思います。ただ、水産にしても加工などは今年あたりからかなり厳しい状況が顕在化するのではないかと感じますし、鮭鱒等、比較的魚価が高いものが先細りになり、代替魚のイワシ・サンマ・サバ等は幸い漁獲量が増えていますが、果たしてこれでカバーできるのかと水産加工の将来に非常に強い懸念を持っています。釧路が生産基地としての地位を今後保っていけるのかどうかの正念場だと思います。そういった点を鑑みて、今後65%の子供が新しい仕事や、今はない仕事に就くといった場合に、釧路として何らかの新しいものを用意していかなければいけないと思います。さて、そこで釧路は何で生きるのか。一例として現在は涼しい釧路を避暑地としてPRして長期滞在者が増加しておりますが、これが定住と就業者の増加につながることはあまり期待できないと考えます。一案として釧根地域の将来を考えた場合、北方領土の返還に多少の期待があります。しかし、共同経済活動にしても果たしてプーチンと安倍総理の関係が良好なのかどうかは見る人によっても違いますし、ロシアも言動にズレが生じていると感じますので、これについては非常に永遠の「?」だと思います。あとは観光という切り口。これについてもこれからが正念場。全国の観光地と肩を並べて釧路が選ばれる観光地になれるかどうか。釧路、阿寒、弟子屈等含めて考えてもまだまだ疑問だと思います。Wi−Fiの整備や多言語表示など、とっくに整備しておくべき点に後塵を拝している現状で、2020年の東京オリンピックまでに外国人訪日客、訪問客を倍増させるという目標数字達成は困難だと思います。最近の明るい話題は、阿寒湖畔で取り組んでいる「夜のテーマパーク構想」です。カナダ ウエストルミナの運営会社が数億円を投資する話がそろそろ煮詰まるのではないかと思います。合わせて「アドベンチャーツーリズム」世界規模で富裕層を対象に莫大なお金を生んでいる観光ツーリズムですが、これは「自然と文化とアクティビティー。この3つの条件のうちの2つを満たしていればアドベンチャーツーリズムと言える」と国際的な団体が言っていますが、阿寒河畔はそれが当てはまるのではないかと思います。9月には世界の団体のトップが阿寒湖、羅臼に来るということで動き出しています。これについては、阿寒湖、羅臼だけでなく根室など広域的な連携の視点が必要なので、そこは行政がプラットホームとなり先頭に立つ必要があるのではないかと思います。IRについては、釧路としては少し厳しいのではないかと個人的に思っています。
ひとつ問題は北海道の依存体質です。北海道あるいは釧路と言ってもいいですが、先週ある会合があり色々な人の挨拶を聞く機会がありました。諸々事情があるかと思いますが「誰々先生のご尽力で高速道路が無事延伸しました」や「誰々先生のお力でバルク港ができて大変嬉しい」ということが挨拶の中心を占めていたような印象を受けました。これは北海道の国依存体質、あるいは市町村からすると道・国へ対する依存体質がまだまだ強い表れであると感じました。地域としての自立性にも疑問を感じました。釧路と対比したい街があります。東京のベッドタウンに千葉県流山市があります。ここは今でも毎年人口が1割位増加しており、立地条件の違いもあり一概に比較はできませんが、流山市の街づくりに対する考え方は参考になるのではないでしょうか。釧路市は人口減に立ち向かう、くい止める政策としてコンパクトシティー化を目指しています。流山市の政策は『母になるなら流山市』というキャッチフレーズを打ち出し、共働き世代に住んでもらえるような街を作ろうという政策を積極的に打ち出して街づくりを進めています。行政内にマーケティング課があり、役所には珍しくターゲットを絞った市政運営・街づくりを進めています。 一方、釧路市には都市経営課があります。釧路に赴任後、釧路にも経営と名の付く市のセクションがあることを知り非常に興味深く思い期待していました。実例として伺った話ですが、釧路市として成果を上げている政策として長期滞在者の受け入れがあります。来訪者(お客様)から市役所に「長期滞在をしたいけれどもどこに行ったらいいのか」という問い合わせが結構あるらしく、市の担当者の答えは「行政とは公平で平等でなければならないので、特定の業者さんを紹介することはできません」と回答しているとのこと。そういったことに対応する為、民間委託して「長期ビジネス研究会」が発足。民間を窓口にすること自体は悪くないですが、「公正・平等」が行政としての原則は理解しますが「経営」と謳う限りは、もう少し山っ気のある話ができる人がいてもいいのではと感じましたし、少々残念に思いました。もうひとつ釧路が目指すべき公共交通像が地域で暮らす人たちの生活実態と乖離があると思います。少なくとも東北海道の拠点を目指すのであれば、釧路町、釧路市の枠を取っ払ったビジョンが描かれなければいけないですし、民間の力を注ぐべきだと思います。主体論に戻りますが、釧路のこれからは女性のパワーがカギを握ると思います。雑誌等では霧によるモイスチャー効果で釧路の女性は肌が美しいとも言われています。元気で活発な女性たちが多くいる街。釧路は"助成"に頼らずに、もっと"女性"に頼れということを最後の締めとさせていただきたいと思います。
プログラム委員会 松井 聖治委員長
 貴重なお話大変ありがとうございました。「地方創生」という難しいテーマを分かりやすくお話しいただき、改めて「釧路」を考える時間になったのではないかと思います。本日はありがとうございました。
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